桜雪
「子供って言わないでください!」

いきなり大きな声を出して喚きはじめた彼女をみてとにかく焦った。

「ごめん。嫌だった?」

必死で謝ってみるけど彼女のなみだは止まらない。


「嫌です。私は子供って言われるのが嫌いで、早く大人になりたくってだからあそこに行ったのに。母親が働いてるのは見ちゃうし。折角大人に慣れると思ったのに...」



「大人になりたくってあそこに行ったの?」

彼女が首をただ縦に振った。

「なんで大人になりたかったの?」

俺は彼女の頭を撫で始めた。

近づいて肩を抱き寄せた彼女の体は思ったより冷たくて小さかった。



「毎日がっつまらなかったっ...大人の気持ちが母の気持ちをっしりたっかった...」


あぁ。そうか、ユナちゃんは俺と真逆なんだ。



俺はまだこのままの子供でいたい。

疲れが出たのか俺の腕の中で闇に包まれる


彼女を見て俺はそう思った。


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