桜雪
大人になることが怖いというカイさんは


雨に濡れて捨てられた子犬のようだった。


少し震えてる姿が守ってあげたいと私を思わせた。


私が大人になりたいって心から思うように


カイさんも私と同じく強い気持ちで


子供になりたいって願っているんだ。


私が『子供扱い』されるのが嫌なように


カイさんは『大人扱い』されるのがいやなんだ。


カイさんは無邪気なまま過ごしていたかったんだ...。


ここでいくらバカな私でもカイさんの1つの矛盾に気がついた。


子供でいたいと願う彼はどうして


大人の世界、夜の街にいたのだろう?


そもそも彼が年齢を偽ってまで


働くあの店には何があるんだろう。

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