オタク彼氏と最強彼女
オタクと彼女
「あ、あのっ、付き合ってください!」
私は今世紀最大の挑戦をしていた。
目の前に居る、やたらカッコイい男に告白中なのである。
「え…」
が。
目の前の男は、少し動揺しただけで他になんの言葉もない。
普通なら「ごめんね」や「ありがとう」の一言があるはずなのだが…
「俺に告白してるんですか?」
「は、はいっ」
「えっ、え、なんで?どーして?」
「はい?」
「俺っ、初めて告白されたんですけどっ。マジやばいんですけどっ」
「……はい?」
私は目の前の光景を疑った。
なよなよして、指と指を絡め腰をくねらせる、所謂キモイ行動。
頬が引きつるのがよくわかる。
思わず後ずさると、男は「あっ」と声を上げて懐から取り出した眼鏡をかけ、お辞儀をした。
きれいお辞儀だった。
「よろしくお願いします、早見さん」
それは、紛れもない、オタクだった。