ただ君だけを。
私は窓から運動場を見つめる。




茜色の夕日が運動場全体を綺麗に染め上げて。



そこの中心には女の子に囲まれてる夏輝の姿。



はっきり言って、夏輝はモテる。



切れ長の目に小さい顔。
金髪に近い茶髪の髪をワックスで少し遊ばせている。

声は高すぎることなく低すぎることのない、女の子を痺れさせるような甘い声。
男にしては華奢な体だけど、案外筋肉もあって。
運動神経抜群。

勉強はちょっと…なんだけど、それ以外は本当に完璧。



そんな私の幼馴染、葉山夏輝。




小さい頃はずっとそばにいたから、よく付き合ってるって勘違いされた。



でも私にも夏輝にもそんな気持ちないから全否定してたけど。




「あーきと。そろそろ帰ろう」





運動場から目を逸らし、机の上に座る秋人に視線を移す。




優しく微笑んで頷いた秋人と一緒に私は教室を後にした。






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