ただ君だけを。
「ん」



靴を履き替えて外へ出ると、ほんのり暖かい空気が頬をかすめる。




秋人が少し照れくさそうに手を差し出してきて、私はそれを当たり前のように握り返す。




「帰ろっか」




そのことが嬉しくて、秋人の肩に頬を擦り寄せた。




「甘えん坊だね」



「えへへ」




人それぞれ幸せの感じ方は違うけど、これが私の幸せ。



「秋人」


「なに?」



「大好き!」



「知ってるって」




握られた手に、力が込められた…気がした。





これが私の…しあわせ。




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