ただ君だけを。

夏輝side



苦しかった。




ただ苦しかった。




めちゃくちゃ苦しかった。


自分が壊れるかと思った。





でももう、壊れてもよかった。





壊してほしかった。




「離せ」



とびっきり低い声を出して、周りに集まっていた女を振り払う。




こんな女なんてどうでもいい。




俺の目線の先には、仲良く手を組んで歩く君の姿。



一瞬聞こえた声。




『大好き』




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