ただ君だけを。
突然、窓の方から聞きなれた音が聞こえた。
音楽を聴いていても聞こえる。
小さな小さな音だけど、俺の暗い気持ちを一瞬で吹き飛ばしてしまう魔法の音。
コンッ
また、鳴った。
ベットから這い出し、震える手を伸ばして、カーテンに手を掛ける。
その手に力を込め、カーテンを…
“本当に開けていいのか?”
開けようとした瞬間、心のどこかにいる冷静な俺が俺を止めた。
カーテンを開ければ陽歌がいるのは確実で。
でも今日は高岡もいるんだろ?