ただ君だけを。
痛む後頭部を抑えてベットに座る。



頭も痛いけど、心も痛ぇ…




陽歌の前では大人でかっこよくて自然な俺でいたいのに、いつも思ってもない言葉を喋ってしまう。




本当は高岡との約束を破ってまで俺のところに来てくれたのがめちゃくちゃ嬉しかったのに。




彼氏のところに行けなんてこれっぽちも思ってないし。






「ん?」




寝転がろうと思った瞬間、黒と白に統一された部屋の中、床にやけに目立つピンク色の物が。




…多分俺の頭に当たったのはアレだな。




拾い上げてそれをよく見る。



ピンクと水色のチェックに赤いリボンが結ばれている、可愛らしい袋。




これは俺の部屋に元々あったものじゃない。




と言うことは陽歌が持ってきたもの?




がさがさとリボンを解き、中にあるものを取り出す。




「これ…!」




俺はそれをベットに置いたまま、家を飛び出した。




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