ただ君だけを。
そんな私の気持ちを読み取ったかのように、秋人が言う。




「え…私寝てたの?」



驚きと、疑問が混じった声。




ちょっと愚痴言って帰るつもりだったのに。




「ばっちり。ほら」




秋人が渡してきたのは目覚まし時計。



淡い水色の、数字が書いてないおしゃれな時計。



受け取った時計を恐る恐る見て、私は目を見開く。



「は!?11時って…昼?夜だよね?」


後者は、もはや願望に近い。




「昼だよ。よく寝たね」




そんな私の僅かな希望を裏切って、にっこりと笑う秋人。



いや、すいません。



そんなに爽やかに笑えません。




今日学校なんですけど。





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