ただ君だけを。
「そっかぁ…まぁいいや。洗濯物とか家事しなきゃだし」



私は、重い体を起こして洗面所へ向かい、足を滑らせるようにして歩いた。




―――――――――――――…





「また来なよ。じゃあね」


マンションを出るところに立って、秋人は優しく微笑む。




「うん。また明日!」



ココへ来た時のローテンションとは裏腹に私はハイテンションで走り出す。




秋人は送ってくれるって行ったけど、こんな顔でゆっくり帰るなんてできないもん。



また今度秋人の家行くし、その時には送ってもらおう。




ひたすら足を動かしながら、さっきのことを思い出す。




…あの後鏡を見た私の顔は酷いものだった。



目は赤く充血して、瞼は腫れて目が思うように開いていない。


よく寝てたせいで口の端からはよだれ。


頬にはうっすら涙の跡。



まぁ簡単に説明すれば人に見せられるものじゃないってことかな。



というわけで秋人のマンションを出てから走った。


昼ごろというわけで、学生が少ないのが幸い。




「はぁっ…はっ…」




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