ただ君だけを。
その目の下にはクマがあって。




…クマ?



……クマ!?



その切れ長の目の下には薄い黒の影。



夏輝の顔を見ていた視線を、少し下に移す。




やっぱり。




着ていた服は昨日と同じ。



いつも綺麗にセットされている髪はボサボサになっていて。




「夏輝、昨日からいたの?」




「うん。だって、俺が悪いから。謝らないとダメだから」




「でも…っ!」




6月とはいえ、夜はかなり冷え込むのに。




家だって隣なんだから、言おうと思えばいつでも言えるのに。









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