ただ君だけを。
…猫に。
自由奔放。
気ままに生きて、よく寝て。
あまり人に心を許さない、孤高の動物。
我ながらにピッタリだな、と一人で納得しながら私も自分の家に入った。
「ただいまー」
いつもどおり言うけど、いつもの『おかえり』は返ってこない。
まぁ親が旅行行ってて私は一人っ子だから、当たり前っていえば当たり前なんだけど。
(さみしいなぁ…)
階段を上がりながら思う。
木造の家の床が時折軋む音がして、それがまた恐怖を煽る。
家事なんか後回しにして、秋人のところにいればよかった。
今更後悔。
(寝よう)
少しでも寂しさを紛らわせる為、私は服も着替えずに布団にもぐりこんだ。