ただ君だけを。
布団を被ることなくベットに横になる。



寝ようと思って目を閉じても、瞼の裏に浮かぶのは君の姿。



――「なーつきっ!」――


――「夏輝ちっちゃいねー。私の方が高いよ」――


――「今度海行こうよ!泳げないから教えてね?」――



――「私…ね


好きな人が出来たんだ…」――



「……っ…」




最後のは、思い出したくなかった。


俺の中にあるのは綺麗な思い出だけで充分。



でもきっと。


辛い思い出があるからこそ、綺麗で温かい思い出はより一層輝きを増すんだろう。




でも俺は何も出来ない。



弱いから。


出来ないじゃなくて、何もしようとしないんだ。




『好きな人には好きな人がいる』


その事を口実にして俺は逃げてるだけなんだろう。




でもそうでもしないと、俺は………





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