ただ君だけを。
「好き、だよ…」




小さく呟いた言葉は、誰にも届くことなく消えていった。







陽歌side




「えー…今度林間学校へ行くことになってます。2週間後から3泊4日で行くので遅刻しないように。以上」





非常にあっさりとした声が私の耳を通り抜けていく。




小さく折った肘に軽く顎を乗せ、顔を左に向ける。





相変わらず運動場では誰かが走り回ってるし、空は澱みなく青い。






妙に騒がしいクラスメイトの声も。





少し暑くなってきた日差しが梅雨の季節よりも気持ちくて。





「夏、か…」




小さく呟いた言葉は、周りの声に掻き消されていった。





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