ただ君だけを。
ガラッ


その時、保健室の扉が開いた。



「あれ?先生?いないの?」



カーテンの向こうから聞こえてきたのは、俺の一番の幸せであり、一番の苦しみの原因である君の声。



「…っ…」



本当に、俺はバカ。



だってほら。



声を聞いただけで嬉しくて体が震える。



「誰かいるの?」



ぺたぺたと歩いてくる音が近くなって、足音が止まったとき、ベットの周りを囲うカーテンが少し控えめに開いた。



「あれ、夏輝?」


「…は、るか」



ベットから上半身だけを起こす。



「こんなところでなにしてんの?ホームルーム始まっちゃうよ」



ここにいるのが俺だと確認すると、陽歌は右足を少し引きずりながら薬品が置いてある棚に近づいていく。



そして湿布を取り出して、俺のいるベットに浅く腰掛けた。





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