文実委員になったから
私の班は、私と相沢くんとアキちゃんを含めて男女ちょうど5人ずつのグループになった。
「じゃあ、当日の役割だけど、まずメイドと執事から決めようぜ。やりたい奴いるか?」
相沢くんの言葉で、10人みんながお互いの顔を見合わせる。
「はいはーい!あたし執事やりたい!」
真っ先に手を挙げたのはアキちゃん。
こういうのすごく好きそうだもんなぁ、アキちゃん。
「香波も一緒にやろうよ、執事!」
「申し訳ありませんが、それだけはお断りさせてください……!」
この私がお客さん相手に注文をとったり、飲み物を運んだり、そんなことできるはずがない。
全力で拒否すると、さすがのアキちゃんも残念そうにしつつもそれ以上誘ってこなかった。
「なぁなぁ、相沢。お前もメイドやるだろ?つーかやろーぜ!」
「えー、やだよ」
思いきり嫌そうな顔で一度は断った相沢くんだったけど、友達にしつこくせがまれ観念したのか、仕方なく首を縦に振った。
相沢くん……メイドさんやってくれるんだぁ!
私はメイドさんと執事さんの衣装を作る係でもあるから、相沢くんがメイドさんをやるからには張り切って作らなくちゃ。
当日が楽しみだなぁ……。
「ほら、ちゃっちゃと残りの分担決めるぞ」
「あ、はい!」
ついつい緩んでしまった頬を再び引き締め、姿勢を正す。
とりあえず私は、ルーズリーフに今の段階で決まった誰が何の役割になったかをメモした。