文実委員になったから
「じゃあ、私はケーキやお茶を用意する裏方に回ります」
「……おっけー」
執事になるのは何が何でも嫌だったので、私にしては珍しく自分がやりたいことを真っ先に立候補した。
相沢くんに「お前も執事やれ」と無言の圧力をかけられたような気がしたけど、目を合わせないようにしていたらとりあえず了承してくれた。
「じゃあ、香波を含めてふたりが裏方。あとのふたりが呼び込みと受付。受付ってのはまあ、食券みたいなの作る予定だからお金をもらってそれを渡す係みたいな感じな。んで、あとの男女6人がメイドと執事ってことで!」
私以外の人たちは、ほとんどが何の役割でもいいという人だったので、とりあえず私と相沢くんで適当に振り分けた。
他の班は、あれがやりたい、どれがやりたくないとかでまだ揉めているのに、私のグループはさくさくと決められた。
相沢くんが進んでてきぱきと仕切ってくれたおかげだね。やっぱりすごいなぁ、相沢くん。
「おーい、いつまでもケンカしてねーで早く決めろよな」
「はーい」
見兼ねた相沢くんが声をかけると、他のふたつの班から不満そうだけど一応返事が返ってくる。
数分もしないうちに、その指示通り役割分担が終わったらしく、誰と誰がどの役割か記された紙が私たち文実委員に渡された。