文実委員になったから
「人の気持ちなんて、こっちがいくら考えたところでわかるはずないの。だから人間には、相手に聞きたいことを聞く口があって、それを聞く耳があって、その気持ちを伝わりやすくする言葉があるんだよ」
「アキちゃんっ……」
なんて素敵な言葉なんだろう。
不覚にも、感動してしまいました。
アキちゃんが友達でいてくれて、本当によかった……。
「ありがとう、アキちゃん!私、さっそく聞いてみます!」
「よし!そうと決まれば、ほれ!食べるのだ!ハンバーガーなら100円だから、あと2、3個ぐらいは奢ってやるぞ!」
「う、うん、ありがとう……。でもそんなには食べれないかな……?」
財布を手にして、追加で買いに行こうとするアキちゃんをなんとか止めて、私は自分のハンバーガーを一口。
戻ったら、真っ先に聞いてみよう。
もし、私にとって嫌な答えだったとしても、もう野川先輩と重ねられないような人に私が努力してなればいいだけ。
うん、大丈夫。アキちゃんも応援してくれているから。
でと、結局そのあとは相沢くんと落ち着いて話す時間が作れず、今日はそのまま解散となった。
すっかりオレンジ色に染まった空を見て、私は今度こそ、と心の中で決意を固めた。