文実委員になったから



「と、いうわけでくじ引きで決めるぞー」


「え──!!」という揃った声が生徒達から上がるが、先生は気にもとめない様子でくじ引きの準備を始めた。


そんな……そんな……


そんなぁああ!!


みんながたるそうにくじを引いていく中、私は思わず頭を抱えてしまった。


どうしようどうしようどうしよう!
私、くじ運ない!生まれてこのかた、くじ運というものに恵まれたことがない!
もしこれで委員になっちゃったら……ああどうしよう!


そうしている間も、どんどんくじは引かれていく。


いまだ“あたり”を引いてしまった人はいない。


“あたり”を引けば……文化祭実行委員──通称文実委員になってしまう。


あたりのくじが出ないまま、私の番が来た。


心拍数が最高潮に達したのがわかる。ドキドキと波打つ心臓をなんとか抑え、私は震える手でくじを引いた。



「はい、決定〜〜!」



私が引いたのは、割り箸の先に真っ赤なテープが貼ってあるくじだった。


他の子が引いたくじには、そんなテープはない。



つまり……“あたり”……。



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