文実委員になったから




教室に戻ってくると、アーチ作りに励むみんなの声が楽しそうに響いていた。


「誰かー、そこの絵の具とって」


「ここ押さえててくれる?」


「ちょっと男子!だらけない!」


わいわいと様々な声が飛びかう。


いつもは各々の仕事が違っていたから、いろんなところにばらけてることが多かったけど、今日はみんなでアーチを完成させるためにひとつの空き教室に集まっている。


暑い中、この人口密度の高さには少し嫌になるけど、“全員で協力してひとつのものを作り上げる”誰もがみんなそう思い頑張っているのがひしひしと伝わってきて、どこか清々しくもあった。


持ってきたペンキを塗り終わると、自分に出来ることがなくなってしまい、どうしようかとしばらく悩む。


今は男子の力仕事が中心っぽいから、私はとりあえず邪魔にならないところにいよう。


そう考えてちょこちょこと教室の隅に移動。


そして、黙ってアーチの完成を見守っている時のことだった。



「──桜さん、上!!」



誰かが私の名前を叫ぶ声が聞こえて。


え、上……?


いくつかのダンボールと、その中から飛び出た工具が、ばらばらと宙を舞っているのが見えて……。



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