文実委員になったから
本番前日
文化祭前日。
どこのクラスももうほとんど完成形になっていて、学校全体がすでに文化祭一色という感じだ。
私たち文実委員の仕事もほぼ終わっていて、あとは当日にやる仕事がそれぞれあるぐらいだ。
私たちのクラスも、夏休み前から計画的にやってきたおかげか、三日前にしてもうやるべき準備は終わってしまった。
やることがなさすぎて、クラスのみんなは、文化祭が終わったあとどこで打ち上げをやるかもう決めはじめているみたい。
「駅前に焼肉屋さんできたんだよ!そこにしない?」
「えー、食べ放題でも高いじゃん、無理!」
「じゃあ、学校の近くのお寿司屋さんは!?」
「わぁー!いいねー!」
「あたし生魚ダメ~」
そんなふうにワイワイと話しているみんなには混じらず、私はひとり教室の隅で頭を抱えていた。
シャーペンをにぎりしめたまま、にらめっこしているのは机の上のルーズリーフ。
私たちの学校は、文化祭も開会式というのがあって、そこで全校生徒の前に出て自分のクラスの出し物の紹介をしなければならない。
そのPR文をこの紙に書こうとしているのだ。
もちろんPRするのは私たち文実委員の仕事なんだけど、まったくといっていいほど素敵なPR文が浮かんでこない……!
「どうしよ……」