文実委員になったから
よくできました
「では、今年の文化祭の時に飾るアーチを決めたいと思います」
先日、第一回目の文実委員会で決定した委員長──野川(ノガワ)さんが全体によびかける。
夏休み前、しかも期末考査もまだ終わっていないというのに、文実委員会は定期的に開かれるようになり、9月にある文化祭にむけて本格的な準備が始まろうとしていた。
中学生の頃は、文化祭という高校生ならではの行事に憧れていた。
志望校を決める時にいろいろな学校の文化祭を見てきたけど、どこもキラキラと輝いていて、中学校にはない興奮がそこにはあったから。
この学校に合格した時は嬉しくて、文化祭も私が楽しみにしている行事のひとつだった。
だけど、文実委員になって夏休み中も学校に来て準備と聞いて……あのキラキラしてた時間は大変な準備を経てのことだったんだと知った。
頑張るって決めたからには頑張るけど、私にちゃんと務まるのかな……。
そんな不安はずっと消せずに、心の中で渦巻いている。
私なんかが文実委員で大丈夫なのかな……。