文実委員になったから
「みんなー!香波も打ち上げ行っていいよね!? 来て欲しくないって思ってる人なんていないよね!?」
すると、みんなは迷うことなく首を縦に振って。
「当たり前じゃん。むしろ、文実委員の桜さんが居なくて打ち上げやる意味なくない?」
藤崎さんがそう言うと、他のみんなからも「そうだよー」「行こうよー」と声が上がる。
「みんな……」
打ち上げに誘ってもらったことなんて初めてで。
こんなふうに、クラスの人たちに言ってもらえることなんて初めてで。
「香波ってば、いつまで“私なんか”って言ってるつもりなの?」
「だって……」
「だってじゃない。もうその言葉禁止。みんな、香波も大事なクラスメイトだって思ってるんだから」
ああ、もうどうしよう。
感動のあまり泣いてしまいそう。
中学までずっと空気みたいだった私が、高校に入って文実委員になったら、こんなにもたくさんの人に存在を認めてもらえるようになった。
嬉しくて嬉しくて、なんて言ったらいいのかわからないぐらい。
「あ、ありがとうございます……!」
アキちゃん、ありがとう。
みんな、ありがとう。
「じゃあ、決まりね。行きたいところがあったら遠慮せずに言ってよね!」
「うんっ……、アキちゃん、だいずぎ……!」
「もうー!泣かないのっ」
思わず泣き出してしまった私を、アキちゃんは抱きしめながらあやしてくれて、クラスのみんなも優しく笑ってくれた。