文実委員になったから



穴があったら入りたいと本気で考えてる私に構うことなく、相沢くんはもう完全にこらえられなくなったのかケラケラと気持ちいいくらいに大笑いしている。


「クラしゅって!しゅ!ふはははは!」


「やめてくださいー!もう、それ以上は勘弁してください!お願いだから!」


「ははは、ごめんごめん」


笑いすぎて涙が目尻にたまっている相沢くん。


さすがにそこまで笑わなくてもいいんじゃないかな!?


心の中でつっこみながらも、噛んだのは自分なので何も言えない。


恥ずかしさと、当日への不安しかない私に、見兼ねた相沢くんが言った。


「香波、ちょっと力入りすぎなんだって」


「そんなこと言われても……力抜いたら失敗するし……」


「力入れてても失敗してんだから、どっちにしろ一緒じゃん」


うっ……そうなのですが。


図星をつかれてしまい、返す言葉もない。


「私って、ほんとになんでこう、うまく出来ないんでしょうか……」


つい口から出てしまう弱音。


頭ではシミュレーションは完璧なのに、それに体がついてこないというか。不器用すぎるというか。


久しぶりに自分のダメダメ具合を目の当たりにして、自己嫌悪に陥ってしまう。



< 177 / 248 >

この作品をシェア

pagetop