文実委員になったから
相沢くんの着替えが終わった。
「うひゃぁぁ……やっぱりすてきです、相沢くん!」
「それ褒められてるような気がしないからやめてくんねーかな……」
カツラをつけて、スカートを履いて、完璧な女の子になっている相沢くん。可愛いの一言につきる。
「そうだ。香波、当番終わったらちょこっと一緒に回らねぇ?俺、ずっとたこ焼き焼いてたから何も食べてねえんだよな」
「えっ!い、一緒に!?」
「嫌なら別にいいけど」
私があまりに驚きすぎたからか、相沢くんが少し残念そうな顔をする。
「ぜ、全然まったく嫌なんてことはありません!むしろよろしくお願いします!」
慌ててそう言うと、相沢くんはたちまち嬉しそうに笑った。
「じゃあ、当番終わるまで待ってて……」
「あ、あのね相沢くん!」
仕事に入ろうとする相沢くんを呼び止める。
自分に気合いを入れるためにも、私はあえて先に言っておくことにした。
「話したいことが、あるんです。その時でいいから聞いてください……!」
相沢くんは目を丸くしたあと、私の必死な声に何か察したのか。
「わかった」
短い返事だったけど、優しく微笑んでくれた。
その姿に胸がキュッと締め付けられたように苦しくなる。
言うんだ、絶対。
どんな結果になったとしても。