文実委員になったから
柏木くんのクラスは縁日をやると聞いたことがあったけど、意外にも本格的で私も相沢くんも少し驚いてしまった。
射的コーナーがあったり、ヨーヨー釣り。教室の隅では駄菓子も売っている。
やっぱり小さな子供たちに人気があるようで、柏木くんのクラスも私たちのクラスに負けず劣らず盛り上がっていた。
「すごい。射的は銃の代わりにボールを使ってるんですね」
「うん。小さいカラーボールなら子供でも当てられるし、危なくもないからな」
柏木くんが得意げに説明してくれる。
さすがだなぁ、と思っていると、相沢くんがやっと手を離してくれた。
「香波。何が欲しい?」
「えっ?」
「取ってやるよ」
どうやら相沢くんは射的をやるらしい。
棚にある景品を指さしながら、私に聞いてくれた。
「じゃ、じゃあ、あそこの……ピンクの……」
「うさぎのぬいぐるみな!」
「よし。じゃあ1回200円な」
柏木くんにお金を払うと、相沢くんに5つのカラーボールが渡された。
1回につき5回のチャンスがあって、ボールが景品に当たって倒れれば、それがもらえるという本当の射的と同じルール。
「よっしゃ。絶対取ってやるからな、任せろ香波!」
「は、はいっ!お願いしますっ」