文実委員になったから



相沢くんはやっぱりサッカー部だからか、ボールを手に持って投げるということは難しかったらしい。


応援したものの、結果は……うさぎのぬいぐるみ、の隣にあった何だかよくわからないあまり可愛くないぬいぐるみが取れた。


何だろう、これは……。
動物なんだろうなっていうのはなんとなくわかるんだけど、何だろう。


「ぎゃははは!相沢ダッセェ!あんなにかっこつけてたくせに!ぎゃははは!」


「うっるせぇなー!」


げらげらと笑う柏木くんに、相沢くんが顔を真っ赤する。


「その……ごめんな、香波」


「いえ!むしろ取ってくれてありがとうございます!」


確かに欲しかった物ではなかったけど……。


相沢くんが私のために一生懸命取ってくれた物だから……。


「すっごく嬉しいです……!」


ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめてお礼を言うと、相沢くんは安心したのか笑ってくれた。


「二人共来てくれてサンキューな」


柏木くんがニッと歯を出して嬉しそうに笑う。


どういたしましてと笑い返すと、突然ピンポンパンポーンという音が教室のスピーカーから流れ、放送が入った。


〈これより、校庭の西にて、ミスコン、そしてミスターコンが開催されます。投票は誰でも自由にできますので、ぜひ皆さんもお越し下さい……〉



< 218 / 248 >

この作品をシェア

pagetop