文実委員になったから
そうだった。
この先何かと一緒にいることも多くなるだろうし、何かあった時に連絡取れたほうがいいからって、教えてもらったんだった。
今まで家族しか登録されていなかったアドレス帳に、初めて新しい人が登録された……。
あ行だから、アドレス帳を開けば一番最初に彼の名前が出てきて、なんか嬉しくてその日はずっとウキウキしてたっけ。
〈お母さんじゃなくてごめんな〉
「ちちち違います!ちょっと間違えちゃっただけで……!」
電話の向こうで相沢くんが笑っているのがわかる。
あーもうっ、最悪だ!恥ずかしすぎる!
これからは電話に出る前は、ちゃんと誰からか確認してから出るようにしよう……。
「えっと……それで、どうしたんですか?いきなり電話なんて……」
〈ああ、それなんだけど。今からちょっと来れる?〉
「え……?来るってどこに……」
訳がわからない私に、相沢くんは早口で場所を告げると、「じゃあ待ってるから」と一方的に言って電話を切ってしまった。
どういうことなんだろう……?
とりあえず、私は出かける支度をして、相沢くんに言われたとおりの場所へ向かった。