文実委員になったから





相沢くんに呼び出されたのは、いつも学校へ行く時に使う駅からふたつ先の駅で、慌てて向かうとすでに相沢くんが待っていた。


「ごめんなさい、遅くなりましたっ」


「ん、へーき。つか、こっちこそいきなり呼び出して悪いな」


「そんなことない……です……」


彼の元に駆け寄るや否や、私は初めて見る相沢くんの私服に思わず見とれてしまった。


わ……かっこいいなぁ、相沢くん……。


今まで異性をちゃんと意識したことがなかったから、誰かを見てかっこいいとか思ったのはもしかしたら相沢くんが初めてかもしれない。


……私ももう少しおしゃれなかっこうしてくればよかったな……。



「……桜さん?どうかした?」


「はっ!いえ!何でもないです!ところで、突然どうしたんですか?」


何故かそんなことを考えていた自分を不思議に思いつつも、相沢くんに私を呼び出した目的を聞いてみた。


すると相沢くんは「ああ、そうそう」と思い出したように声を上げて、近くの新しくできたデパートを指さした。



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