文実委員になったから



「……ハズイ。恥ずかしすぎるんですけど。
とりあえず、男も着れるサイズってわかったからもう脱いでいい?
ほら、店員さんも思いっきり大爆笑してるからさ……」


そんな相沢くんの声は、私の耳にまるで届いてこない。


「桜さん?聞いてる?」


メイド服に身を包んだ相沢くんは、



素晴らしく美しかった。



いわゆるイケメンという類の彼の整った顔は、ゆるふわロングヘアーのカツラで可愛くなり、女の子らしさがにじみ出ているように感じる。


そう。
言うなれば、少し大人っぽい、メイドさんだ。


もう、絶句するしかない。
だって可愛すぎるんだもん!
私なんかより絶対似合ってる!


そこらへんの女子なんて比べものにならないぐらいに、


相沢くんはそりゃあもう超絶可愛かった。


「あ、相沢くん……やっぱり当日は、接客担当でお願いしますっ!」


「絶対断るっ!」


「ええっ!そんなこと言わずにお願いしますよー!」


これはもう、男性も女性もやられちゃうに違いない。


女としてのプライドは見事に壊されたけど、私は強力な人材を手に入れた気がして嬉しかった。



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