文実委員になったから
「そんなふうに思ってくれてたんだね。ありがとう、嬉しい」
山田さんはふわりと笑って、そしてココアを一口含む。
そして……。
「でもね、あたし中学の時は全然友達とかいなくて、独りぼっちだったんだぁ……」
ぽつり、とつぶやくように清水さんが言った。
「あたしもね、桜さんと同じですっごい人見知りで、中学の時まで仲良しな友達とか全然いなかったんだ」
嘘……あの山田さんが?私と同じ?
明るくて、みんなに好かれてて、人気者の山田さんが……?
「高校では、友達作るぞって気合入れて、ほんとはちょっと怖かったんだけど頑張って自分から声かけたら初めての友達ができたの。そしたら、1人友達ができたら嬉しくなって、そのあとも自分から声かけていったら、いつの間にかいろんな人があたしに話しかけてくれるようになったんだ」
「そうだったんですか……」
知らなかった。山田さんが努力して友達を作っていたこと。
勝手に、自然と仲良くなれる人なんだろうなって思ってた。
羨ましいと思っていた自分が恥ずかしくなる。
すごい……山田さんってすごいなぁ……。
私は最初の3ヶ月あまりしか頑張れなかったのに。一度からまわってしまったら、私に友達を作るなんて出来ないんだって諦めてしまったのに。