文実委員になったから



「えー、なお1年生の買い出しですが、誰と一緒に行っても構わないので、このリストにいくつか買うものとどこのお店で買えるか書いてあるので、手分けして買ってきてください」


野川先輩の指示のあと、後ろから声をかけられた。


「香波ちゃん」


柏木くんだった。


「ねぇねぇ、買い出し、俺と一緒に行かない?」


「え……でも柏木くんのクラスのもう一人の委員さんは?」


「他のクラスの女の子と一緒に行くんだってさー。だから俺ひとりぼっちなのよ~」


ひ、ひとりぼっち!?
それは大変だ!ひとりぼっちの気持ちはよくわかります、教室で休み時間中、ひとりでぽつんと座っている時ほど悲しい時はないものだ。
最近は、有難いことにアキちゃんが一緒にいてくれるようになったけど。


「じゃあ、相沢くんも一緒に……って寝てる!?」


3人で一緒にと思い、隣の相沢くんに目を向ける。


でも相沢くんは、遅れて来たくせにさっそく居眠りしていた。


「あ、相沢くん……」


「いいじゃん。ふたりで行こうよ」


「えっ!?」


にこっと笑って柏木くんが言った。
相沢くん以外の人とふたりきりでなんて!緊張バロメーターが大変なことになる!面識があるとは言っても、柏木くんとは数えるぐらいにしか話したことないし。


「いや、でもあの、そしたら相沢くんがひとりぼっちになっちゃうし……」


何より私が気まずさに耐えられない!
そう思って、とりあえず相沢くんを揺り起こそうとすると……。



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