文実委員になったから




学校に戻ってくると、階段のところで相沢くんと遭遇した。


「おう、香波遅かったな」


柏木くんのこともあってか、相沢くんを目にした途端、なんだかほっとしてしまう。


「相沢くん!只今戻りました、何してるんですか?」


「委員長に絵の具とか、いろいろ生徒会から借りてこいって言われて」


委員長……野川先輩か……。


あのあと、ずっと一緒に作業してたのかな。


今までいつも一緒だったから、なんとなく寂しい気持ちになる。


「おら、突っ立ってねーで香波も手伝え。結構重いんだよ、これ」


「……はい!」


元気よく返事をすると、相沢くんは優しく微笑んでくれた。



「ちょっと待てよ」



そのまま階段をあがろうとした時、冷めた声がそれを阻んだ。


「柏木くん……」


「お前、勝手に香波ちゃん連れてくんじゃねーよ」


「はぁ?」


何だろう。柏木くん……また雰囲気が違う。
私に迫ってる時でも、ましてや天使の笑顔の時でもない。


低い声に、鋭い瞳。


相沢くんを……睨んでる。



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