文実委員になったから
楽しいお昼休憩が終わって、作業が再開された。
「香波ちゃん」
突然声をかけられ、びくり、と頭より先に身体が反応して、手にしていた道具が滑り落ちた。
「あ……柏木、くん……」
美術準備室でアーチ作りに必要な道具を探していると。
何日かぶりに柏木くんに話しかけられてしまった。
「何探してこいって言われたの?」
「え……あのっ」
「手伝うよ」
にこりと、いつもの天使な笑顔を柏木くんは浮かべる。
「あ……ありがとうございます……」
気まずい空気の中、野川先輩に頼まれた道具を一緒に探すことになった。
「……香波ちゃん」
「はいぃっ!?」
しばらくお互い黙っていたけど、柏木くんがおもむろに口を開いた。
びっくりして声が裏返ってしまった私を見て、くすくすと笑う柏木くん。
「驚きすぎ」
「すみません……」
あー、恥ずかしい!
思わず俯くと、柏木くんの優しい声が降ってきた。
「ごめんね」