文実委員になったから
「お疲れ様!今日はこれで解散していいわよ」
野川先輩はパンと手を叩き、みんなに呼びかけた。
それを聞いたみんなは、大きく伸びをすると、さっと片付けて「お疲れっしたー」と挨拶を交わしながらぞろぞろと教室を出ていく。
「あー疲れたー。とっとと帰って爆睡してやるぜ」
相沢くんも鞄を肩にかけながら大きなあくびをひとつ。
今日は、男の子たちは角材を運んだりという重労働が多かったらしい。疲れているのも無理はない。
「じゃあなー、香波。また明日」
「うん、お疲れ様でした。また明日です」
夏休み中も、こうして別れ際に“また明日”と言えて、その言葉通り次の日も会える。
相沢くんとまた明日も会えるのだと思うと、すごく嬉しかった。
……と、私も早く帰ろう。
帰り支度を済ませて、教室を出ようとした私だったけど。
「あれ……野川先輩は、まだ帰らないんですか?」
すでにオレンジ色に包まれた教室の中で、帰ろうとしない野川先輩に気が付いた。