文実委員になったから
駅まで野川先輩と歩いていると。
「桜さんって、相沢くんと付き合ってるの?」
さっきまで楽しく、相沢くんなんか全然関係ない話をしてたのに。
いきなり脈絡のない質問をされ、そして相沢くんの名前が出たことに戸惑い、心臓が激しく波打つ。
「ど、どうしたんですか?いきなりそんな……」
「いきなりじゃないわ。ずっと気になってたの。あなた達、すごく仲良いじゃない」
そ、そうなのかな……。
私のクラスはみんな男女問わず仲良しだから、あまり違和感はない。
それに、男の子と話せるようになったのは人生で相沢くんが初めてだから、どこまで仲良くなれば“付き合ってる”と勘違いされるのかよくわからない。
私と相沢くんは、勘違いされてしまうほど親密になれたのだろうか?
「……相沢くんって、良い男よね」
「え……」と顔を上げると、そこには少し頬を赤く染めた、“女の子の顔”の野川先輩がいた。
「私ね、相沢くんが好きかもしれないの……」