いつかの花。


 そのためには早寝が必要なのだけれど、問題がある。

 堤巳兄様と湖子からの宿題のために、それを成し遂げられるかどうかがひどく怪しいのだ。



「うむ、今帰ったぞい。ほっほ、励んでおるようじゃの~」



 にこにこにこにこ。



 真人お父様の笑顔パワーは相変わらず健在だった。



 何が言いたいのか、さっぱり掴めない。



「は、はぁ……」


「そうじゃ、三日後は付き合ってもらいたいところがあるのじゃが」



 ちらり、と伺うような目線。

 まるで、お菓子を出された子供が『これ食べていーの?』と母親に訊く時のような。



 そんな目をされて断れるわけがない。

 ましてや、相手は真人お父様。

 父と娘という関係である以前に、彼の頼みはなぜか断わってはいけない! という気にさせられる。

 なんとも不思議な話だけれど。



「なんなりと」


「実はのぅ、新しく養女を迎えた、と言いふらしていたら是非とも会いたいと言われてしまったんじゃ」




< 105 / 121 >

この作品をシェア

pagetop