いつかの花。
ごあいさつ
三日という時間は思った以上に素早く過ぎ去ってしまった。
「そういえば……明日は堤巳兄様の授業の日かぁ」
なんだか、ものすごーく、気分が重くなってしまう。
いや、これを本人に言おうものならどんなスバラシイ笑顔の付いた制裁が待っているのか知らないから言わないけれど。
正確には、言えない、なのだけれど。
「うう、宿題が……終わるかな? ていうか終わらせなきゃ怖いし……徹夜になったらどうしよう」
こっちに来て、よかったと思ったのは、もう定期テストなどに悩まされずに済むこと。
……だったはずなのに。
世の中、甘いだけではないようだ。
アメがあれば、しっかりとムチもある。
「はぁ……」
「おや、蘭花。溜め息なんぞを吐いてどうかしたかの?」
真人お父様に覗き込まれ、ハッと我に返った。