いつかの花。
私の負け
「え……私、元の所に帰れるのよね?」
またしても、肯定を期待してそう尋ねた。
お願いだから、今度こそ『うん』って言ってっ!!
「まさか」
「そう簡単に返してしまっては、何のために呼んだのかわかりませんわ」
けれども、その願いは無残にも、二人の強い否定の前に、アッサリと破れた。
「そんな……」
「あら、そんなに悲観することはなくてよ。あなたが成すべき事を成して、然るべき時期が来れば、ちゃんと戻して差し上げますもの」
「そうそう。やることやってくれたら、ちゃんと帰れるってことだからさ」
にこにこと笑うサノが、ひどく胡散臭く思えた。
例えるなら、作り笑顔を浮かべた悪徳商人のような感じ。
ニコニコがニタニタに見える。
これで手を揉んでいたら、ハマり過ぎだ。
「あ、今、君ものすごーく、俺に対して失礼なこと思った?」
「……そう思われるようなことしてるからでしょ」
「お、結構ズバズバ言うんだね」
「遠慮する必要が見つからないもの」
「そりゃそうだね」
相変わらず、ニタニタ笑いに見えるにこにこ笑いを浮かべるサノ。