いつかの花。
「千四百年弱と言った方が近いかもしれないがね」
サノが口を挟んだ。
もっと前ってことになると、六百年代?
「サノ、あなたが喋ると話がややこしくなるのだから黙っていてくださいな」
「はいはい」
私が頭の中で必死に計算していると、シイナはサノを黙らせた。
これ以上ややこしくなんてして欲しくないから、私も黙っている。
「ここまでは理解できまして?」
「ええと、古墳時代から飛鳥時代ぐらい?」
「俗に飛鳥時代と呼ばれている時代ですわ」
ニコリと、シイナは笑った。
彼女の笑い方は、ちゃんとマトモに見える。
すごく不思議。
「へぇ~。で、なんでなの?」
「理由は……。ちょっとした、ミスをわたくしたちの部下の子がしてしまったから、ですわ。そのミスが歪みになる前に、あなたに正しに行ってもらいますの」
ちょっとした、ミス?
「なんで私が他人のミスの尻拭いなんかしなくちゃいけないの!?」
「それは運ですわね。その役があなたであったのは必然ですけれど」
「運と必然って、矛盾してるじゃない! 私はそんなの嫌っ! すぐに帰る!」