いつかの花。

 そう宣言して身を翻したものの、私一人だけの力では、ここからは帰れないことに気付いた。

 しかも、よくよく考えてみると、シイナの言葉はすでに決定事項であるかのように、事後承諾形だった。



 そんなのって、アリなの!?

 私、本当に厄年かもしれない……。

 自分の運の悪さがひどく憎らしい。



「あら、あなたはまだ帰れなくてよ。さっきもわたくしはそう言ったわ。覚えていらして?」


「お、おぼえていましてよ……っ!」



 やばい、口調がうつった。



 ムッとしながらも、とりあえずはシイナの話を聴く体勢に戻った。



「歪みを正すって、何?」


「とある人物を間違って居ないことにしてしまったようですの……。ですから、あなたにしていただくのはその穴埋めでしてよ」



 はぁ、と溜息をつき、さも困ってます、といったように腕を組んだシイナ。

 彼女の瞳は伏せられていて、憂いに満ち満ちている。

 引き受けないこちらに、なんだか……。



 ざ、罪悪感が起こるのはなぜ?


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