いつかの花。

 もう一度、男の人の顔を見た。



 うん、男。

 で、スカート?

 ………………うん、仕方ないよね、飛鳥時代らしいもん。

 現代とは違うよね。



 半ば無理矢理自分を納得させた。

 そうでもしないと、いつまでも気になってしまう。

 恐るべし、カルチャーショック。



「えっと……どちらさま?」


「ほっほっ。第一声がそれかのぅ。可笑しなおなごじゃ」



 ほっほっほっ。

 何かがツボにはまったらしく、そう笑い続ける四十か五十歳ほどに見える壮年の男の人。



 ……そこまで笑うことないじゃない。

 こっちだって、笑いたいのこらえてたのに!



 少しムッっとしたものの、男の人が動いたおかげで、スカートは上着と繫がっているワンピースのようなもので、腰から下の両側面にスリットが入っていることがわかった。

 しかも、それと白いズボンとの間に今度こそスカートを履いているのも見えた。



 ……夏とか、暑くないのかな。

 今は秋っぽいけど。



 自分の自然に出てきた思考にピクッと止まって、辺りを見回した。

 収穫されていない麦の穂が風に揺れていた。

 その色は、緑ではなく、ハワイとかに行った人の焼けた肌の色。


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