いつかの花。

 もしかしなくとも、怪しまれてる、よねぇ……。

 見知らぬ格好の女の子がこんな草の上に倒れてたらそりゃあ怪しまれるよねぇ……。



 私の着ている服は、現代からのセーラー服のまま。

 スカートの膝丈を短くしていなくてよかった、とコッソリ思った。



「そういえば、あの、あなたは……?」



 思いついたことは、とりあえず話題を変えてしまおう! というなんとも稚拙な作戦だった。



「わしは小野真人じゃよ」



 おののまひと!?



 数瞬、驚きで思考が停止したかと思った。



 いやーっ!

 それじゃあ、私を怪しむのも無理ない!



 知らない娘が一族の名を名乗ったら、怪しむのは至極当然のことだ。



「さ、蘭花殿。こちらへまいられよ」


「へ?」



 にこにことした笑顔は変えず、小野真人さんは立ち上がって、手招きをした。



 しかも、蘭花殿?!



 どういうことかと思って怪訝な目で見ていると、小野真人さんはにこにこ笑顔を苦笑に変えた。

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