いつかの花。
緊張するーっ!
そうは思っても、一応ポーカーフェイスで乗り切ってみせよう!
とひそかに決意した。
「ええと……湖子さん?」
「湖子で構いませんわ、蘭花様」
おそらくは、私よりも年下だろうに、落ち着いた声音の湖子さん。
美人って、声も綺麗なんだ……。
「じゃあ、私もサマはいりませんよ?」
「そういうわけにはまいりません。あなた様は、ご養子とはいえ、旦那様のご息女なのですから」
「でも、湖子さんみたいな美人に敬語とかサマ付けとかをされるのって、変な感じなのだけれど」
「わたくしはウネメですから」
……。
単語がわからないと、会話って通じにくい、かもしれない。
ひしひしとそう思った。
そういえば、英語の聞き取りも、単語がわからないと無理だったわよね……。
単語がわからないことって、実はすっごく不便だ。
それがその時代の人々にとって常識的なことであればるほど、尋ねづらくなるのが厄介でもある。
いっそのこと、バラしてしまえばいいのかもしれない。
これからどうしていくにしろ、協力者は必要なのだから。