いつかの花。

 緊張するーっ!



 そうは思っても、一応ポーカーフェイスで乗り切ってみせよう!


 とひそかに決意した。



「ええと……湖子さん?」


「湖子で構いませんわ、蘭花様」



 おそらくは、私よりも年下だろうに、落ち着いた声音の湖子さん。



 美人って、声も綺麗なんだ……。



「じゃあ、私もサマはいりませんよ?」


「そういうわけにはまいりません。あなた様は、ご養子とはいえ、旦那様のご息女なのですから」


「でも、湖子さんみたいな美人に敬語とかサマ付けとかをされるのって、変な感じなのだけれど」


「わたくしはウネメですから」



 ……。

 単語がわからないと、会話って通じにくい、かもしれない。

 ひしひしとそう思った。



 そういえば、英語の聞き取りも、単語がわからないと無理だったわよね……。



 単語がわからないことって、実はすっごく不便だ。

 それがその時代の人々にとって常識的なことであればるほど、尋ねづらくなるのが厄介でもある。



 いっそのこと、バラしてしまえばいいのかもしれない。

 これからどうしていくにしろ、協力者は必要なのだから。


< 38 / 121 >

この作品をシェア

pagetop