いつかの花。
「じゃあ、朝とか昼とかは何て言うんですか?」
「朝は、アサゲ。昼は食べませんわ」
食べないんだー……。
あはは。
乾いた笑いが顔に浮かびそうになるのを必死に堪えた。
私、お腹持つかな……。
ここにまり子が居たなら、『信じらんないっ! ありえないっ! 絶対無理ーっ!』くらいは叫んでいそうだ。
私がつらつらと現代の親友を思い返している間に、湖子さんはサラサラと、また木の板に漢字を書いてくれた。
夕餉が、ユウゲ。
朝餉がアサゲ、なのだそうだ。
「そっか……、ありがとう、湖子さん」
「ですから……っ、はぁ、もういいですわ。蘭花様」
諦めたように溜息をついた湖子さんには見えないように、机の下でグッとガッツポーズをした。
努力は実ると実感できた、本日二回目の『じーん』だった。
「ご覧になってください」
「え……うわぁっ!」