いつかの花。
本来の自分の時代と違うところで死ぬ羽目になるなんて、真っ平ごめんだ。
私はまだ死にたくなのに!
まだピッチピチの十六歳なのにぃーっ!
けれども、現在位置もわからない今は、もうどうすればいいのかもわからない。
お手上げ状態ってヤツだ。
「お父様……こんなことを見越していたんだとしたら……」
恐ろしい。
というか、侮れないお方であるのかもしれない。
タダモノではないことだけは確かだろう。
真人お父様が博識だということは、湖子からもよく聞いているし。
けれど、今の問題はそこじゃない。
「だれか……たすけてーっ!!」
「なんだオマエは」
天の助けっ!?
そう思った。
突如、背後からの声は低く、そしてよく通るモノだった。
それが男のモノだということはすぐにわかった。
そして、呆れと訝しさを含んだソレであることも。