いつかの花。

 軽度の現実逃避をしていた私。

 気がつけば、真人お父様は心配そうな表情はそのままに、いつものようなのほほんとした雰囲気に戻っていた。



 よ、よかった~。

 あの雰囲気、何気に怖かったんだよね……。



 本当のお父さんか叔父さんか、もしくはおじいちゃんか、というほど以上に仲良くなってしまった現状だ。

 心配されることへの罪悪感も、出会ったころのものとは比べ物にならない。



 いつの間にこんなに仲良くなっちゃったんだろう。

 くすぐったい感じ。

 悪い気はしないけれど。



「わかりました」


「わかればよいのじゃ。さて、蘭花の兄を連れてきたぞい!」


「ぇ……はいっ?!」



 アニ?

 兄……。

 ……私にお兄さんなんていないのにっ!

 なんでなんでなんでっ?!


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