いつかの花。

 それほどヒドい性格をしているの?!

 私……嫁姑戦争のようにいじめられたりなんかはしない、よね? よね?!

 ……逃げたい。

 どこかに遁走したらダメだろうか。

 ああ、でもそんなことをしたら真人お父様を悲しませてしまうし、湖子にまた怒られる……。

 結局、逃げ道なしですか?



「旦那様、お着きになりました」


「おお、そうか。通してくれ」



 ガラッと扉が横に滑り、部屋の中に光の割合が増した。

 思わず、少しばかり目を細めた。



「堤巳」



 真人お父様が、呼んだ。



 つつみ?

 それが、名前だろうか。

 なんだか、現代にも居そうな名前……。



「父上、お久しぶりにございます」


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