いつかの花。
「そうじゃ、蘭花、堤巳」
紹介が済んだ、というだけで真人お父様は、ツツミさんにしっかりかっちり遺伝させている、そのにこにこ笑顔で、私たち二人を呼んだ。
「何でしょう、父上」
「わしはちょ~っくら出かけてくるのでの。二人仲良くしばらく話でもしておきなさい」
えー!
えーとえーと。
普通、初対面の男女二人を、いくら義兄妹だとはいえ、二人っきりにするものなんでしょーか?
まるで、お見合いかなにかのよう。
この時代にお見合いがあったのかどうかなんて、知らないけれど。
「え、お父様……っ!?」
「はい、父上。お気をつけて」
「それではのぉ~」
そうして、真人お父様はひらひらと手を振りながら、あっという間に部屋から出て行ってしまった。
今頃、ヒゲを撫でているに違いない。
というか、私はこれからどうすればいいの?
そんな自問に答える声はなかった。