いつかの花。

「その蘇我氏に支持されているのが、古人大兄皇子様」



 ふるひとのおおえのみこさま。



 誰だったかな……。



 そこまでは、わからない。



「どういう方なんですか?」


「古人大兄皇子様は、先代の天皇である舒明様の第一皇子であらせられる。だが、少しばかり気が弱くてねぇ……今は入鹿殿の腰巾着というか傀儡というか……ま、そんな御方だね」



 舒明天皇の第一皇子。



 それはつまり、今現在、最も皇位継承権があるということなんじゃないの?



 それなのに、古人大兄皇子様は、蘇我入鹿の傀儡。

 入鹿の天下で、やりたい放題。



 そんな政治が、許されるはずがない。



 そして、そこでやっと納得する。



 だから……中大兄皇子と中臣鎌足は大化の改新を行ったんだ……。

 時代の、流れを変えて、正しい方向へと国を導くために。


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